スポーツのけが

オスグット・シュラッター病

成長期の膝の仕組み

下の図は成長期の膝を横から見たものです。骨の成長期にあり、骨端線(成長線)はまだ閉じていません。膝を伸ばす時は大腿四頭筋が膝蓋骨を介して脛骨粗面(けいこつそめん)を牽引します。牽引力を生みだす大腿四頭筋は大きな筋肉である一方で、牽引される側の脛骨粗面は、個人差はあるものの、約1.5㎝×2.0㎝くらいの大きさで、剥がれやすく弱い構造です。

オスグット・シュラッター病とは

成長期は急激に身長が伸びて骨も急成長を遂げますが、筋や腱などの軟部組織は同じようには成長しません。そのために生じる大腿四頭筋の柔軟性低下(いわゆる太ものの筋肉が硬い)をきっかけに、ジャンプやダッシュなどの繰り返しの動作により、膝蓋骨を引っ張る力が脛骨粗面に加わります。

膝を伸ばす牽引力は骨化途中の骨端線(成長軟骨板)に負荷を与え、これが繰り返されると脛骨粗面が剥離したり、炎症を起こします。これがオスグッド・シュラッター病です。陸上競技、サッカー、バレーボール、バスケットボール、バドミントン、動作ではジャンプ、ダッシュ、キック、フルスクワットなどで起こりやすい症状です。

実際の症状

膝のお皿の下、脛骨の骨上部あたりで特に運動時に痛みを感じます。また熱を帯びたり、腫れなどの症状があります。また、症状が進行すると該当部位が隆起してくることがあります。ももの前のストレッチで痛みが誘発され、膝を曲げることが難しくなります。ジャンプやストップ動作、切り返し動作で痛み、症状が強くなると、階段の昇り降りなど日常生活にも支障をきたします。

予防と治療

膝蓋骨下を押すと痛みがあるとオスグッドが疑われますので、早めに診察を受けましょう。この時早めに治療を行うことで、練習を休まずに症状を軽減させ、最終的に完治させることができます。

我慢してプレーをする期間が長いほど、復帰までの時間がかかってしまう傾向があります。

成長期の選手は自ら運動量の調整を判断できない場合もあるので、周囲の大人がコンディションを把握することが重要です。脛骨粗面を押すチェックなどを定期的に行うようにしましょう。 また、大腿四頭筋の柔軟性が低下する(いわゆる太ももの筋肉が硬い)ことも、膝への負荷を増加させることの契機になるため、大腿部の柔軟性チェックも併せて行うと良いでしょう。

わたなべ鍼灸院では治療とともに、お家で行うリハビリメニューをお教えしています。成長期という怪我の多い時期に再発の予防を行うことが大切です。