子どもは大人のミニチュアではない
子どもは大人をただ小さくした存在ではありません。大人と同じようにトレーニングをしたら壊れてしまうし、子どもだからこそ獲得しやすい能力があります。トレーニングの優先順位を間違えてしまうと、子どもの成長の邪魔をしてしまいます。
特に気を付けたいのが成長期。子どもの成長のタイミングは人それぞれ異なります。ですが、そのタイミングを見逃してしまったり、無視してしまったり、同じ年代でひとくくりに周りと同じトレーニングを行ってしまうことが多いのが現状です。
個性が顕著に表れる成長期に、個性に合ったトレーニングを行えるようにしていきましょう。
スキャモンの発育曲線
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こちらの図は「スキャモンの発育曲線」といって、ヒトの身体がどういう風に成熟していくかを表したものです。リンパ型=免疫機能、神経型=脳や神経、一般型=骨格筋肉などの体つき、生殖型=男女の体つきの性差、を表したものです。
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どの子も順番に各部位が発達しますが、どの子も成長のタイミングが異なります。同じ生年月日でも同じように背が伸びるわけではありません。
APHV
成長が早い子、成長が遅い子、見ているとなんとなく分かると思います。このなんとなくを数値化したものがAPHV(Age of Peak Height Velocity)です。成長期のピークがいつくるかを、身長、座高、生年月日などで計算します。
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成長のピークの時期は1人ひとり異なります。平均の年齢(日本人だと平均11歳or13歳)より前の年齢か、あとの年齢かで必要とされるトレーニングは異なります。また、成長期のピークの時期は「成長痛」に悩む選手も多いので、その時期はトレーニングの負荷の調整を行います。
成長が早い子を「早熟(そうじゅく)」。成長の遅い子を「晩成(ばんせい)」といいます。
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成長期の期分け
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成長期の前から、成長期が終わるまでには約4年間あります。
この4年間をAPHVを基準に3つのフェーズに期分けします。
Phase.1 成長期に入る前
Phase.2 成長期のピーク
Phase.3 成長期の終わり
Phase.1
Phase.1の成長期に入る前には、とにかく多くの動きを経験することが大事です。多くの動きの材料を増やします。子どもの時の吸収力が高いときに動きの材料を増やすことが大事です。この時期は複数のスポーツを行うのが良いです。オリンピックのメダリストや一流アスリートは、マルチスポーツと呼ばれ、幼少期に複数のスポーツを行っていた人が多いです。Phase.2に近づくにつれて、やったことある動きを増やすとともに、動きのクオリティも考えていきます。
Phase.2
Phase.2では多様な動きの質とともに、基礎的な筋力を増やしていきます。この時に大事なのが、動きを鍛える→筋肉が育つということです。どうしても筋力に目が行きがちになったり、他の子と比べてしまいますが、動きにフォーカスし、適切な負荷で徐々に筋力を増やしていきます。Phase.3に近づくにつれて動きの負荷を上げて筋力アップも行います。
この時期は骨格が成長し、身体の各部位がアンバランスで怪我を起こしやすい時期です。必ず負荷のコントロールを念頭にトレーニングを行います。
Phase.3
動きの質と同じくらい、筋力にフォーカスをしていきます。動きはより専門的になり、細かい動作の修正を行います。成長期は終わっていないので、注意は必要ですが、大人のアスリートとしてトレーニングの負荷設定を行います。
絵の具を増やそう
こうしてデータ化すると、個性を尊重しているようで実はすべて効率よくアスリートを育てるために管理されているように感じるかもしれません。
ただ、どのスポーツでも共通して一番大切なことは子どもがスポーツを楽しむことです。
かつ、子どものスポーツで大事なのは、個性を尊重すること。そして可能性を広げてあげることだと思います。
子どもの動き、考え方を絵の具とします。スポーツを通して、この絵の具の数を増やしてあげることでたくさんの色を塗れるようになります。また、自分で色と色を組み合わせて新しい色を作り出すかもしれません。
子供の可能性を広げられるように、子どもが心からスポーツを楽しめるように、色んな絵の具渡したり、最後には自分から新しい色を探したくなるようなそんな環境つくりの材料としてたくさんの研究を参考にしています。